人口減少・少子高齢化社会の到来
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我が国の総人口は、戦後増加を続けていたが、2010年ごろをピークに減少に転じ、
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位・死亡中位推計)によると、2065年には8,808万人に減少することが予測されています。
2019年の推計では、前年に比べ26万人減少しており、人口減少は着実に進行している一方、65歳以上の高齢者の人口は、近年増加し続けており、2019年には3,588万人と総人口に占める割合は28.4%と高齢化率についても上昇し続けています。
特に75歳以上人口の増加が著しく、2000年に900万人であった人口は、2019年では105.5%増の1,849万人、総人口に占める割合は14.7%となっています。
人口減少・少子高齢化が進行するとどうなるか
少子高齢化が進行していくことで、以下に示す問題が発生すると危惧されています。
①税収の減少、社会福祉保障の増大
生産年齢人口(15歳-64歳人口)が減少していくことで、税収面は減少していきます。
一方、65歳以上の高齢者が増加することで、社会福祉保障費は増大していき、公的サービスはその維持や向上が困難になるといわれています。
②地域交通の衰退
地方圏では人口減少とモータリゼーションの進展によって、路線バス等を中心とした地域公共交通の衰退が問題となっています。
地域公共交通は地方で暮らし、車を運転できない高齢者にとっては生活の足として、生活に切り離せない重要な役割をになっていますが、路線バスは利用者が減少し続けており、採算性が合わない路線の廃線が各地でみられています。
③空家空き地の増加
人口減少の進展により、「二次的住宅」や「賃貸用住宅」等の空き家数・空き家率はともに増加し続けています。
特に、長期不在等により活用が見込まれない「その他の住宅」については増加傾向がより顕著となっています。
市区町村別に空家率をみると、都市部と比較して地方ではより空家率が高い傾向にあり、高齢化の進展より、空家の所有者の高齢化と人口減少による担い手不足より、今後、利用・管理されない空き家や空き土地が増えていく懸念があります。
そうした場合、地域の安全性や景観性が低下するとともに、地域コミュニティの希薄化等、街の魅力の低下につながり、加速度的に地方衰退が進むことが危惧されます。
④担い手の減少
生産年齢人口(15歳-64歳人口)が減少することとで、地域を支える中小企業では、後継者不足が喫緊の課題となっています。
特に建設産業では、若者離れもあり、担い手不足が深刻化しています。
3.人口減少・少子高齢化社会に対応していくために
人口減少・少子高齢化社会によって様々な問題が引き起こされると考えられていますが、こうした中でサスティナブルな社会を構築するために、以下の対応が求められています。
①東京一極集中の是正
我が国全体の人口が減少する中、東京都をはじめとする首都圏では転入超過が続いており、地方から人が集まっており、東京一極集中が続いています。
出生率をみると、都市部は地方部に比べ、出生率が低く、晩婚化もみられています。
そうした都市部に若者人口が集中することで、我が国の出生数減少の原因となっています。
また、東京都をはじめとする首都圏では、今後、高齢者の加速度的な増加が予測されており、社会保障費の増大、福祉担い手不足といった問題を抱えています。
さらに、近年の頻発・激甚化する災害において、南海トラフ巨大地震、首都圏を震源地とした首都直下地震など、そのリスクは高まりを見せております。
人口及び経済の高度なサプライチェーンを持つ東京一極集中の是正は、人口減少への対応だけではなく、巨大災害へのリスクヘッジとしても寄与するものとなります。
②都市のコンパクトシティ化
地方部において、人口減少により、市街地部の人口密度は低下を続け、社会経済活動や公的サービスの維持・向上への支障が問題となっています。
また、車を運転できない高齢者にとっては生活の足となる地域公共交通が衰退しており、生活交通を確保する面においても人口減少に対応したまちづくりは重要です。
地方部では、モータリゼーションの進展より、郊外に大型商業施設が立地し、市街地部の拡大開発がこれまで行われてきましたが、人口減少・少子高齢化社会においては、都市のコンパクト化が求められます。
これにより、人口密度を高めることで、社会経済活動の維持と公的サービスや維持管理の効率化を図るとともに、歩いて暮らせるまちづくりにより、車を運転できない高齢者にとっても住みやすいまちを形成できることが期待できます。
③情報通信技術の高度化・活用
5G技術をはじめ、情報通信技術はめざましい進展をみせており、ソサエティ5.0社会の到来が期待されています。
これにより、リモートオフィス化や働く場所に縛りがなくなり、東京一極集中の是正に大きく期待されます。
新たな技術を積極的に活用することで、人口減少・少子高齢化に対応していくことが重要です。