海藻が世界を救う!牛のげっぷによるメタン排出削減の取り組み
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地球温暖化という言葉はニュースや新聞などで見たり聞いたりする機会が多く、世界に様々な影響を与える問題として注目されています。
主な影響としては気候変動や海水面の上昇などで、それにより将来的には小さな島国の水没や、生態系への影響が懸念されます。
また、その温室効果ガスには二酸化炭素やメタン、フロンなどの種類があります。
今回の記事では、地球温暖化の原因となるメタンを削減する取り組みの中で、海藻を牛の飼料に含めることによるメタン排出削減について紹介します。
地球温暖化の原因となる温室効果ガスについて
地球温暖化の原因となる温室効果ガスの中でも、最も大きい原因といわれているのが二酸化炭素です。
二酸化炭素は、人間の呼吸や自動車、飛行機の使用、ごみの燃焼や物の製造過程など多くの場面で発生しています。
二酸化炭素の次に原因となるのがメタンです。
メタンは色も臭いもない可燃性のガスですが、ごみの埋め立て処分場、天然ガス生産、下水や家畜の糞などの分解過程や家畜などから発生します。
様々な発生原因の中でも、この記事で取り上げたいのは家畜から排出されるメタンです。
牛のげっぷが温室効果ガスに占める割合
人為的に排出される温室効果ガスのうち、およそ15%は家畜によるものであることが分かっています。
また、その2/3は牛から排出されるものです。
過去のデータではありますが、2014年には牛の家畜数が豚よりも約1.5倍多いこという統計データがあります。
このデータから、豚よりも牛のほうがメタンの排出量が多いことは納得できます。
飼料に海藻を混ぜることにより得られる効果について
牛が排出するメタンの削減について研究していたオーストラリアの国立研究機関と現地の大学は、2017年にある論文を発表しました。
内容は、細かく刻んだ海藻を牛の餌に混ぜて与えることでメタンの排出を85%も削減できるというものでした。
また、海藻を混ぜることで摂取する餌の総量も少なくなったことが研究の中で明らかになりました。
これは、げっぷをする行為がエネルギーの消費活動であるため、それを抑制することで必要な食事量が減ったことによるものです。
海藻を食べさせることによりげっぷが抑制される仕組みは、海藻に含まれるブロホルムという物質にあります。
この物質は、牛の消化器にいるメタン生成細菌を減らす効果があり、それによりメタン発生が抑えられる仕組みです。
研究に用いられたのは海藻の中でもカギケノリという種類で、朝鮮半島から台湾、太平洋の熱帯地域、オーストラリアなどで確認されています。
海藻の利用と問題
海藻を利用することでうしのげっぷから発生するメタンを抑制できることが分かりましたが、この問題を解決するためには世界中に数多く生きている牛に海藻を届ける必要があります。
必要な量は、大まかに見積っても数十億トンです。
解決策としては養殖が考えられますが、簡単且つ持続的に改装を供給し続けるためにはまだ課題が残されています。
海藻の養殖について研究するチームは、カギケノリの遺伝的な特徴を調べてより取り扱いやすいタイプの海藻に変化させる取り組みを行っています。
メタンの排出削減から二酸化炭素の排出削減
最終目標としては、海藻の胞子が含まれるロープを酪農家などに供給し養殖してもらうことと、養殖した海藻を加工することによりブロモホルを抽出することにあります。
加えて、カギケノリをはじめとする海藻類は二酸化炭素を吸収する役割もあります。
陸上にある樹木などは二酸化炭素排出の削減のために役立ちますが、海中では海藻などがその役割を持ちます。
そのため、メタンの排出削減から二酸化炭素の排出削減、そして地球温暖化への効果に期待が高まっています。
今年には商業的な収穫が計画されており、実用化され効果を発揮する日はそう遠くない未来かもしれません。
【まとめ】地球温暖化の今後
牛のげっぷにより排出されるメタン削減の取り組みとして、カギケノリという海藻が有効であることを紹介しました。
もう一度、内容について重要なところをまとめておきます。
- 新聞やニュースで見たり聞いたりする機会が多い地球温暖化は無視できない問題
- 地球温暖化の原因は温室効果ガスの増加によるもの
- 温室効果ガスには二酸化炭素やメタンが含まれ2番目に多いのがメタン
- 人為的なメタン排出要因としては家畜によるものが約15%で2/3が牛から排出される
- カギケノリを飼料に含めることによりメタン排出を85%削減することに成功
- 効果の鍵を握るのはカギケノリに含まれるブロモホルという物質
- 海藻の養殖及び供給に課題はあるが今後の展開に期待
地球温暖化の問題は、世界中の人間含む生物が取り組んでいかなければならない重要な問題です。
牛に関しては、個体数を減らすという意見もありますが人間の大切な食料であるためそう簡単に決断できる問題ではありません。
ただ、牛の存在が地球温暖化を加速させていることも事実です。
この取り組みは、世界が抱える環境問題の対策として、今後の展開が気になるニュースです。